開業コストシミュレーション
イニシャルコストはもちろんのこと、ランニングコストのこともきちんと考えていますか? 「とりあえずオープンして利益を出せば……」といった甘い試算でいると、あっという間に経営は立ちゆかなくなってしまいます。ぎりぎりの経営ではいつまでたっても初期投資を回収できず、利子ばかりが膨らんでしまいかねません。
店舗開業にあたっては、現実的な月次試算をもとに、これだけは売り上げなくては赤字になってしまうという損益分岐点を算出し、売り上げの予測や目標を立てる必要があります。
損益分岐点が明確になることで、イニシャルコストやランニングコストを調整することができ、現実的な店舗づくりが可能になるのです。
以下は、20坪程度のカフェを開業する場合にかかる1ヶ月のコスト試算例になります。これをもとに、損益分岐点を設定してみましょう。
1ヶ月にかかるランニングコスト例(20坪程度のカフェをする場合)
人件費 | 103万円(店長兼務の経営者30万円、正社員25万円、アルバイト時給800円×2名×12時間×25日営業) |
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地代 | 27万円(一坪あたり1万円として算出、駐車場1台分を加算) |
水道光熱費 | 12万円(一坪あたり 5千円として算出) |
通信費 | 4万円(電話、インターネット) |
車両燃料費 | 5万円(ガソリン代のみで設定) |
宣伝広告費 | 10万円(チラシ、フライヤー、ミニコミ紙、季節のDMなど) |
消耗品費 | 16万円(お箸、おしぼり、掃除用品、その他) |
雑費、予備費 | 7万円 |
合計 | 183万円 |
損益分岐点の設定
一般的な飲食店の原価率は30%程度ですので、逆に粗利益率(売上高総利益率)は70%ということになります。ランニングコストが毎月183万円だとすると、下記のような計算式で損益分岐点を算出します。
ランニングコスト【183万円】×(1÷粗利益率【0.70】)=損益分岐点売上高
183×(1÷0.65)=2,614,285
20坪程度のカフェを経営する場合、月に最低261万円の売上高が必要だということになります。次に、この損益分岐点売上高をクリアするために、どのような経営形態にすればいいのかを算出していきます。
損益分岐点売上高をクリアするために
月に261万円の売上を出すために、逆算して平均客単価、来店人数、営業日数を設定してみます。
- 客単価・・・1,000円とする
- 1日の来店人数・・・客席22席で1日5回転とする
- 営業日数・・・25日
平均客単価【1,000】×1日の来店人数(客席数【22】×回転率【5】)
×営業日数【25】=1ヶ月の売り上げ
1,000×(22×5)×25=2,750,000
1ヶ月で275万円、1日平均11万円の売上がないと店舗経営を維持できないことになります。この数値は最低限の数値ですから、儲けや借入金の返済などに捻出できる利益はでません。損益分岐点売上高や1ヶ月の予測売上をもとに、店舗建築や機器導入コストなどのイニシャルコストや人件費、営業時間・日数などの設定を検討していきましょう。
イニシャルコストを抑えて安定経営
開業をするにあたって、すでに土地を持っている、あるいは更地を借りる場合には「店舗建築」あるいは「コンテナハウス建築」という選択肢がありますが、店舗を新築するよりもコンテナハウスを利用したほうがイニシャルコストをグッと抑えることができます。
コンテナハウスの建築費
下記は、18坪のコンテナハウスを建築した場合にかかる建築費の例です。20f ISOコンテナの本体価格は1台40~45万円、内装工事費などにかかる費用を加えて、合計(基本仕様)650万が必要になります。
コンテナハウス本体価格 20f ISOコンテナ×4台 | 1,800,000円 |
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内装工事費用(デザイン設計、看板制作などを含む) | 3,000,000円 |
設備費用(ガス・水道・電気) | 1,700,000円 |
合計 (基本仕様) | 6,500,000円 |